【陶真と涼佑のために】ー中学受験費用
中学受験塾に通い始めたわが子たちとの生活を中心軸にするため、ごく普通のサラリーマンを脱サラし、個人事業を始めたばかりの夫を持つ私たち家族は、私立中高一貫校に通せているおよそ9割の保護者と違い、経済的に相当な覚悟を持つ必要がありました。
夫の実家とは、折り合いが悪く、私の方は、両親がすでに亡くなり、兄弟もない一人っ子で、夫婦ともに、経済的にどこにも頼ることができない状態でした。
どういうわけだか、幼いころから他のきょうだいとは愛情格差がつき、長男である夫だけにつらく当たる義父母のことを、夫は「あいつら、俺だけのけもんにしやがって」「こんなときに、あいつら(夫の両親)の援助があったら…」と嘆くことがたびたびありました。
私もきっと夫のように、自分の両親に酷な扱いをされていたら、自分自身を大事にすることを知らずに成長し、ましてやわが子たちへの愛情を「かたちにしてあらわそう」という気持ちにも到底ならなかったはずでした。
最近ではそれもほとんどなくなりましたが、そういう意味で、夫は「陶真と涼佑に甘すぎるんちゃうんか?」と、わが子たちと自分自身の子供の頃との隔たりに、時折苦悩していることがありました。
私も本音をいうと、私の両親が生きていてくれたら、きっと十分な援助をしてくれるであろうと悔しく思うことがなかったわけではないですが、
それよりむしろ今では、亡くなっていった、自分と近しいひとたちとの思い出のすべてが、深い愛情に包まれていたと気づけるようになりました。
私を取り巻くひとたちが、私を大切に育ててくれていたという思い出とともに、私の祖父母、そして私の両親から受け継いだ、わが子への愛情のあらわしかたを、自分の子どもたちにも伝えたいと、強く思うようになっていました。
私自身の両親が遺してくれていたものと、私のパート代と塾講師としての報酬のほとんどを、中学受験費用に充てることにしました。
○陶真の塾代として
小3生¥312,043 小4生¥415,230
小5生¥419,685 小6生¥620,262
4年間の合計 ¥1,767,220
月額にしておおよそ、小3生は¥26,000、小4生は¥35,000、小5生¥35,000、小6生¥52,000
○涼佑の塾代として
小4生¥349,632 小5生¥428,064 小6生¥802,044
3年間の合計 ¥1,579,740
月額にしておおよそ、小4生は¥30,000、小5生¥36,000、小6生¥67,000
公立中高一貫校の講座に加えて私立一貫校の講座を受けていたので、陶真のときより小6生の塾の費用が多く必要となりました。
2人の塾代を合わせると、¥3,346,960でした。
それ以外に、陶真と涼佑それぞれに、模試+交通費+お弁当費が、毎月必要でした。
月謝として考えていたので、毎年ごとに「ん、かさんできた⁈」と思いつつ払えていたのかもしれませんが、いざ年単位にしてみると「よくもこんなに払っていましたよね⁈」と、驚きと同時にこわくなりました。
ただそのときの私の救いだったのは、陶真と涼佑が、確実に成長していると思えていたことでした。
それは、2人ともがそれぞれの志望校という目標を持ち、それに向かい進んでいく懸命な気持ちが育ちつつあると実感できていたからでした。
【陶真と涼佑の合格とともに】ー入学費用(2校ともに寄付金がなくて助かりました)
私たち家族の蓄えは、ほとんど底をつき、陶真のときも涼佑のときも、入学時のまとまった納入金を納めるために、それぞれ金融機関から借り入れをすることになりました。
このころから私は、自分ごとに使うおこづかいをすべて封印することにし、生活の中心が、完全に陶真と涼佑のための一辺倒に取って代わりました。
そうまでしても、私立中高一貫校への私の期待感は衰えることがなく、どんなことがあろうとも、私たちの経済的な都合で卒業できないことにならないよう決心を強くしました。
○陶真の入学費用として
入学手続時納入金 入学金、施設費、学年費、一期分(4か月分)学費含む¥553,250 制服などの最低限必要な制定用品費¥120,380
合計で¥673,630
(学費、生徒会費などの納入金を月額換算した場合 約¥43,300)
合格発表のあった月中に、入学手続時納入金と制定用品費を納入しました。
中2生から、1年間でおよそ¥519,600 それに加え、お弁当代と交通費が必要となりました。
○涼佑の入学費用として
入学手続時納入金 入学金、施設費、制服費、教材費、諸費用預り金などで¥600,000
毎月の納入金 授業料、旅行積立金など含め¥74,313
駅→学校スクールバス(希望者のみ)6か月 ¥12,000が別途必要でした。
中2生から、1年間で¥891,756 それに加え、お弁当代と交通費が必要となりました。
きっとここには、お金では「はかる」ことのできない何か大切なものがあり、けれどそれはそれ相応なお金と引き換えることでのみ得られるという矛盾の中に存在する気がしていました。
私は無謀にも、私立中高一貫校の中のワクワクした気持ちを感じるものの正体が何であるかを確かめたいという、取りつかれるほどの思いに駆られていたのかもしれません。
【全国の手取年収比】ー2人以上世帯調査
手取年収 関東 / 関西
0 3.1 3.3
0~300 14.2 19.0
300~500 25.9 31.3
500~750 28.5 26.8
750~1000 13.4 9.9
1000~1200 7.3 5.8
(万円) (%) (%)
出典:令和4年 金融広報中央委員会「全国の手取調査」
【親世代年収比】
年収 公立中学 / 私立中学
~400 10.2 3.8
400~600 21.2 6.2
600~800 26.6 15.4
800~1000 20.5 16.8
1000~1200 11.3 17.7
1200~ 10.3 40.1
(万円) (%) (%)
出典:令和3年 文科省学習費調査「親世代年収比」
中堅校と難関校では、年収のみで比べた場合、あくまで私の主観でいうと中堅校の親世帯の方が俗にいう「お金持ち」が若干多い印象でした。
平均年収の私たち家族にとって、誰からの助けもない中で、陶真と涼佑のそれぞれの6年間をどう乗り切るか、果たして無事乗りきれるのか、このときはこんなにも大変なことだったとは、無知というのは時として怖さを消し去っていくようでした。
どんなことがあっても、親である夫と私は、陶真と涼佑の卒業式を役目を果たした喜びの涙と笑顔で迎えなければという思いを強く持ちました。
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