1学期の三者面談で、担任の先生から「今の成績では、関関同立も難しいですね」と断言されるほど、相変わらず涼佑は下位から4分の1のあたりを行ったり来たりしていました。
夫は「何のために高い金払ってるんや。東大行かなどうすんねん」と、本気ともつかぬ冗談をまたも繰り出し、私もまた「東大は絶対無理やから」と、同じ言葉を返していました。
涼佑は、6月の引退試合を最後に、中学の部活が幕を引くことになりました。
それを機に勉強への意欲が少しでも湧けばと思いつつも、それから後もたいして成績が上がるわけでもありませんでした。
【中3生の涼佑】
4月―春の校外学習
5月―①定期考査
6月―合唱コンクール、文化祭(涼佑は中1~中3のあいだ、学校内での賞に3回入選しました)
7月―②定期考査、夏期特別授業
8月―サマーキャンプ
10月―③定期考査、海外研修旅行
涼佑にとって2回目の海外研修旅行となりました。
1回目同様、1か所にとどまらず、時間の許すかぎり、できるだけ多くのところを訪れるという日程となっていました。
ある都市では、本場のミュージカルに触れ、さまざまな肌の色の異なる人たちが行き交う街を歩き、世界の広さを、共に学生生活を送る仲間と共有できたことは、これからの涼佑にとって何らかの良い影響となるはずでした。
そして、若者なら誰もが憧れる国は、とても刺激的で魅惑があふれ、涼佑もまたいつか滞在してみたいところのひとつになりました。
12月―④定期考査、レシテーションコンテスト
1月―書初め
2月―⑤定期考査、ウインターキャンプ
3月―中学卒業式
私立中学の3年間の学校生活を通して、公立中学では経験できない海外研修旅行などの数多くの行事を同級生たちと体感できたことが、すぐには表れることはないにしても、今後の涼佑を良い方へ導いてくれるに違いありませんでした。
学力が向上することだけが学校生活を送る唯一の目的ではなく、一人では決して生きられないことやまず自分が何をどうしたいかを知り、それに向かい、そして自分がそれをすることによって、社会に対してどうそれを役立てていくのかを学ぶことも大事な目的のひとつでした。
そして年が明けた初春ー「コロナ自粛」を何とかくぐり抜けたウインターキャンプの直後、「コロナ禍」の波が中3生の涼佑へも容赦なくやってきました。
涼佑の私立中高一貫校では、「コロナ禍」に見舞われた早い時期から、中1生時より全員所持している学校でカスタマイズされたパソコンを使ってのオンライン授業が始まりました。
また別の私立中高一貫校でも、それぞれ独自で工夫をめぐらし、「コロナ禍」への対策がとられることになりました。
涼佑が過ごした私立中高一貫校での中学3年間で、「学習面での成長」はあまり感じられませんでしたが、同級生の誰もがいちからのお友だち関係という中で、それを皆で作りあげる過程を経て「精神面での成長」を、涼佑にも感じることができました。
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