【そんな中でのコロナの襲来】
私たち家族とは離れての寮生活ではありましたが、陶真は、公的機関の下、コロナ禍でもあらゆる面での心配ごとがほとんどない状態なことが何よりでした。
涼佑の私立中高一貫校は、学校生活に関して、コロナ禍とはいえ、臨機応変な対応ができるところでしたので、不便さはあるものの、学習面でも安心して任せることができていました。
英会話などの塾の教室を閉じたあと、できる限りの時間をパートタイマーとして勤務していた私は、休業することなく営業できる業種だったこともあり、コロナの影響をさほど受けなかったのが幸いでした。
わが子たち、そして私にしても、さほど不安はないものの、サラリーマンから自営業となった夫は、コロナ禍による金銭面での大打撃を被ることになりました。
お得意先からの注文は激減し、多少の補助金は得られたものの、この先、わずかな蓄えを食いつぶしていくという生活がいつまで続くのかを思うと…
またしても、あのときの苦しくて辛かった気持ちが、身体中をかけめぐりました。
何かほかに良い改善策を考えつかなければ、このままでは先の見えないことへの不安に押しつぶされそうでした。
【家計を再度見直してみることに】
⑴日々無駄なものをできる限り買わないようにすること
⑵光熱費や携帯代や保険料など毎月の維持費を極力抑えること
⑶ほかに副収入を得る(夫がいつまでもバイトを続けられるのか?)
⑷自営業の必要経費の中での無駄な支出を見つけ出すこと
すでに⑴と⑵は、常に意識をしながら日々生活してきたつもりでいました。
⑶については、夫がバイトを2つに増やしてくれていましたので、本業が閑散としていた状況とはいえ、これ以上増やすのは時間的にも無理がありました。
むしろバイトもこの先いつまで続けられるのか…。
というのも、バイト先でのバイク運転中に転倒し、危うく骨折か⁈ということがあったからでした。
このままずっと夫のバイトでの収入に依存することはできない…。
コロナ禍以前なら、あと数年のあいだ、これらを続けていけば何とか乗り切れると思っていましたが、予想だにしなかったコロナ禍に見舞われたことで、本業での収入が激減したため、たとえ数千円のことでも節約を考えていかなければなりませんでした。
もう1段階支出を削り落とすために、すべてにおいて見直す必要に迫られ、まだ手をつけずにいた⑷を、早急に改善していくことにしました。
気になったのは、自営業を始めた当初から使っていた事務所を兼ねた倉庫でした。
以前は「自宅のローン+倉庫」でしたが、現在「家賃+車庫+倉庫」となったことで、毎月の住居費用が5000円加算され、年間でプラス6万円の支出増加となってしまっていました。
自宅を売却する際にも、倉庫と兼用できるところを探しましたが、思いのほか早くに買主のマキノさんと出会えたことで、短期間での私たちのお家探しは、思うようなところが見つからず、とりあえず今の賃貸マンションに移りましたが、
やはりもう一度お家探しを始めることにしました。
私たちに余力が残っているうちに…。
肉体的、精神的、金銭的に…。
【毎月の維持費削減のため、再びお家探し】
⑴自宅兼倉庫としての広さがあること
(郊外の一軒家?)
⑵リフォームしなくてもすぐ住めること
(現状維持されている?)
⑶今よりも住居費用が安くなること
(賃貸ではなく所有?)
すべてに疲れ果てていた夫は、すべての気力を失いかけ、最近ではまるで別人のようにおとなしくなり、そんな転居先が見つかるのか、半信半疑ながらも私のこの提案に従い、これらの3つのことすべてが当てはまる、夫と私でのお家探しが始まりました。
ポスティングされた広告を見たり、ネットでの検索をしたりしたあと、不動産会社へ問い合わせ、数件の現地見学、数件の内覧を経て、このときも不動産会社の担当営業の方に背中を押されたことで、3つの条件を優先したお家への住み替えが決まりました。
⑴の条件—3倍の広さになったこと
⑵の条件―居住中だったこと
⑶の条件―毎月7万円の住居費用削減(夫がバイトを辞めたことで収支はほぼ変動なしでしたが…)
住み替えをしたことでー金銭的にというより精神的な面なダメージが軽減
・賃貸ではなく所有なので、家賃を払い続ける必要がなくなったこと
・広くなったことで、家族間でのプライバシーが確保できたこと
・転居したことで、夫はバイトを辞め、肉体的疲労が軽減したこと
陶真と涼佑にとっては、幼いころから慣れ親しんだわが家を離れたことだけでも、複雑な思いを感じていたはずでしたが、またしても住むところを移らなければならないというのは、思春期真っ只中の彼らが、特にそばで一部始終を目の当たりにしていた涼佑が、どれほどのものを感じていたのか?と、文句ひとつ言わず私たちに従った心の内を思うと、ときおり胸が痛みました。
良かったことだけではなく、そうでなかったことももちろんありますが、ぎすぎすしている夫と私との関わりが、ここに引っ越してから少し和らいだのを感じました。
何より涼佑の受験期をむかえる1年以上前に住み替えを終えることができたのが、私たちにとっていちばんの幸いでした。
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